廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学研究VI

河本英夫「感覚の精神病理」、河本英夫・佐藤康邦編『感覚――世界の境界線』白菁社所収 中央図書館、115.5-Ka95

コメントより: ・「神秘」という現象→ 自己や他者は「夢の中のように」現れる。テレパシー。 ・ラバーハンド錯覚。→ 視覚情報と触覚情報を統合的に受容するメカニズム。 ・自己感の誕生と、世界認知や他者認知が「同時的」。 ・「意識を向ける」とは→「注意…

宮本省三『メルロ=ポンティとリハビリテーション』

宮本省三『メルロ=ポンティとリハビリテーション』、『現代思想』2008年一二月臨時増刊号、pp. 182-199. 概要:認知運動療法のカルロ・ペルフェッティの理学療法の意義を、メルロ=ポンティの哲学と共鳴させながら探ること。 構成: イントロダクション、問…

感覚の臨界で世界のさしせまりを知覚する

知覚=感覚されないもの、感覚によってしか感覚されないもの 先週のメモ 他我認識論をめぐって ・「窓の外の人は自動人形ではないか・・・」(デカルト的問題設定) ・超越的他者と目の前の「汝」や隣人(ユダヤ=キリスト教的) ・「他者の意味」はそもそも…

現象学と絵画(改訂版)

現象学と絵画(改訂版) ・目的:絵画を「哲学的」に分析するのではなく、むしろ画家の営みをモデルに思考すること。(プリント1参照):絵画という「感覚的なもの」にも、<他者と分かち合い可能性>がある。数学的なものだけが「客観的」なのではない。「…

根源的闘争の原理の彼方に──マキャヴェリ

はじめに 『シーニュ2』に収められた「マキャヴェリについての覚書」はメルロ=ポンティ一九四九年の論文。メルロ=ポンティは一般に「共存」の哲学者として知られるが、この論文ではめずらしく「根源的闘争」の場としての政治の場から、いかに「集団的生活…

ラガーシュの「言語性精神運動幻覚」についてーーもう一人の私

Cf.「言語の病理」、『意識と言語の獲得』、pp. 76-83 ・概観。常態と病態はまったく同一でも、まったく異なったものでもない。 ・言語性幻覚(hallucination verbale) ダニエル・ラガーシュ『言語性幻覚と発話行為(パロール)』の記述 Dépersonnalisation…

言語の病理と「常態」

Cf. 「言語の病理」、『意識と言語の獲得』、pp. 76-83 ・概観。常態と病態はまったく同一でも、まったく異なったものでもない。 ・言語性幻覚(hallucination verbale) ダニエル・ラガーシュ『言語性幻覚と発話行為(パロール)』の記述 Dépersonnalisatio…

見えるものが自己に到来する

見えるものが自己に到来する(『眼と精神』) ・「人間」を超えた「自然」における出来事 ・ただし現象学は、知覚主体に定位するので、このような一種神の視線からの記述はしない。 ・ただし見えるものの「ぶれ」を身体的に感受し、そこに「さらに先に進む」…

言語の自己媒介と意味の生成

1)「言述(言説)(discours)が私の中で語っている」=言語の「自己媒介」的な働き。ただし「私」を通して作動する。 媒介とは ・みずからの働きをみずから隠しながら働く ・媒介されるもの(主体と客体、作者と読者)はその結果として生じる ・媒介が「生産…

ことばとその病理

『表現の科学と表現の経験』(『世界の散文』所収) --------------------------------------- これまでの分析と病理的な現象 189-193 話すこと: ・開かれた関係に入り込む、 ・傷つきうる者となること ・幻聴(言語的幻覚hallucination verbal)の例 → ノー…

言語理解における「こだま」と「ゆがみ」

コメントより ・二つの言語:「あえて言えば」「二つの言語があると言ってみよう」 ・「事後には」(après coup)。 メルロ=ポンティは別のところで「真理の遡行的運動」(ベルクソン)について語る。真理が真理であるためには、新しいものとしての意味が、い…

語りつつある言語と語られた言語

メルロ=ポンティのテクストの特徴について ・螺旋状に進みながら、同じ問題を拡張したり、深めたりする → メリット:たんなる論証ではなく、「体験」を同時に深めながら思考を深めることができる ========= 前回コメントメモ ・「記憶の再構成とは…

メルロ=ポンティ「表現の科学と表現の経験」(1) 表現の科学と表現の経験(1) 問い: ・本を読んで何かを学ぶ、経験するということはどういうことか。 ・これは視覚世界と共通点がないか。本で風景を「見る」「記憶する」 ・本の記憶について。幼年時代…

先端文化学研究VI (廣瀬浩司)

先端文化学研究VI (廣瀬浩司) 授業の主旨: ことば(parole)とは何か。本授業では、 1)たんに記号として何かを指し示すもの。メッセージを伝達する道具。 2)論理的な思考体系(普遍文法)がどこかにあって、言語はそれを経験的世界において再現しよう…