廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

「この古きもの、芸術」6/6

真実
この断章は、p. 11の「しかし」で二つに分かれ、前半では「女性」というモチーフが彼の中心主題であり、それは「いったん見定められると、空間全体を揺る動かす」ほどである。他方後半では、この「女性」が象徴ではなく、「マーク(標識)」「刻印」「コード」そのものであることが示される。
1) エルテは「女性」という煉獄を通って名を知られ、分類される。
その舞台は「モード」と「芝居」である。
「冒険」「モード」「映画」「新聞」において保護されている
1925年

2)記号としての女性、女性としての記号
「彼は女性を求めていない、それをすぐに与え、反復し、鏡の中で同一なものを増殖させる。
それは「本質」や「妄想の表現」でもなく、「あるコードによって規格化された一つの標識」「刻印」「コード」そして「暗号」「記号」である。
 女性としての記号、記号としての女性の創造。これは同時に言語の創造でもある。

まとめとコメント:
pop art論と同じようにバルトはここでも「芸術破壊的な要素(モード)」と「芸術(cf. p. 14)との揺動のうちにエルテを置く。後半が重要なのは言うまでもなく、それがこれからの主題である。
 この時点では、エルテが「女性」を脱象徴化し、脱本質化し、純粋な「マーク」「しるし」そして記号に還元したことが、なぜそれを「芸術」にしたのか、十分に説明されていない。これが以降の章で説明されていくのである。