廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学研究5:奥行きとキアスム

1) 奥行きについて
・ 物が隠し合うからこそ、それらをそれぞれの位置に見る
・ それぞれの物がその場所にあるからこそ私の眼前でそれらが競い合う
・ 含み合いにおける外在性、自立性における相互依存
・ これは第一の次元。いろいろな次元の転換可能性の経験そのもの。「場所」の経験。「物がそこにある」というヴォリューム。
・ 色のずれにおけるコントラスト、不安定なものの抑揚(モデュレーション

・ 見えるものが自己に到来することで、画家が物の間に生まれてくる。

2) 右手と左手の二重感覚について
・ 右手と左手はついに一致しない。そこには「ぶれ」がある。しかしこれは「失敗」(挫折)ではない。まさにこのぶれこそが、2本の手がひとつの身体をなすこと、私の身体が世界の中で「みずからを動かす。両者のメタモルフォーズ。隠された蝶番。これは非存在ではない。

・ 裏返される手袋の指。私がこちらがわにいながら、自己と自己との関係において、「他」への開けを経験すること。

・ 裏返される無。そのときもろもろの物を見る。「見えないもの」=襞、二重化。