贈与の主題
cf. 「時間を与える」(『他者の言語』法政大学出版局所収)
(1) 円環=交換と贈与
マルセル・モース(1872-1950)の「贈与論」:ポトラッチ。贈与の持つ「力」。マナという物の持つ呪術的「力」
レヴィ=ストロースの構造主義:交換のシステムの一部。円環を閉じてしまう。
デリダ:贈与の「瞬間」は、円環的時間を中断する。時間を引き裂く。
(2) 現れないものとしての贈与
「限界的に言って、贈与としての贈与は贈与として現れてはならない、贈与される人にもするひとにも」。Presentを中心とした時間性にはあてはまらない
(3) 贈与の時間性
・忘却。贈与はその瞬間に「忘却」されなければならない。忘却はみずからを忘却する。
・「生き残り(sur-vivre/living on)。贈与者の「死」の可能性。贈与は回帰しない。贈与は、存在するものの彼方で「残る」痕跡。「秘密」として残る
・暴力と反復。「暴力は、円環の内ないしは外において、円環を反復したり、中断したりするものとして、消し去りがたい」