廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学研究6:ドゥルーズ『感覚の論理』(1)

基本的な問題
1)ベーコン=ドゥルーズのいうFigureは、たんなる「形」「形式」「形態」とどのように違うのか。Figureとその背景の関係は?輪郭は?
2)ベーコンにとって絵画とは、主観的なイメージでも、何かあるものを指し示すイラストでも、物語でもない。それでは何なのか。
3)古典的な絵画の「宗教性」、現代の「写真」の説明性との関係。
先取り:
・背景とFigureとの動的な関係。Figure同士の強度の関係。イメージの生成。
・写真と宗教性と現代性の混淆。

注:Figureを「図像」と訳すのは誤訳であろう。「像(Bild)」にはならない、それを逸脱するものが問題になっているからだ。


1 円、舞台

1 Figureとそれを区切る場。
・Figureが隔離されることによる、場所の形成。
・Figureは固定されず、移動し、探究する。
・「作動的な場」によって、ひとつの「事実」が定められ、ひとつのイメージ、ひとつの偶像が生起する。

ベーコンの説明:
・、的、特徴を排除すること。モデル、物語の排除
→ 二つの道
1) 抽象画
2) 具象でないようなFigureを隔離すること(ベーコン)
イメージと対象、という関係を排除(表象)
三枚組の絵(トリプティック)の間の「強度の関係」(15)

Figure同士の関係が具象や物語にならないためにはどうすればよいのか。この強度の関係はどのようなものか。それをさしあたりドゥルーズはmatter of factと呼ぶ(16)
2 平塗りの意義
Figureのほかの部分は風景でもはなく、無形なもの(informel)でもなく、単色面(平塗りapla)であること

平塗りは、Figureと同じように、「接近した、触覚的、あるいは「触感的(触視覚haptique/haptisch/haptic)」視覚」によって把握される。(深さ、遠さ、影ではない)。「私はFigureとおなじように、影に存在感を与えようとした」(ベーコン)
→ 平塗りとFigureは同じ平面にある。
鮮明さを鮮明さによって破壊すること。
Figureは「非意味的な筆跡」


Cf. ベーコン絵画の三つの要素(注5参照)
物質的構造(平塗り)、円形—輪郭、直立したイメージ
(骨組みー台—Figure)

2 古典絵画と具象との関係についての注釈
具象的なものからFigureをもぎ取ってくること
○マルローによる「近代絵画」
・写真が説明的機能を担う
・古典的概念の宗教的可能性もない。
→ ベーコン、ドゥルーズにおいてはそう簡単に三者(写真、宗教、Figure)は分かれない。
・写真はたんに説明的ではないのではないか
グレコの宗教画「オルガス伯爵の埋葬」における、感覚的なもの、Figure的なものの解放。「神が存在するのですべてが許される。」さまざまな感覚の水準(レベル)を通過する。Cf. ジョット、ティントレット
だから宗教画はFigureを解放した
他方、近代絵画は写真や紋切り型に満ちている。