廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学研究6:ドゥルーズ(3)

コメントより
人間性(データ性)排除→個人に関するデータを越えた人間に共通する感覚
・Figureの消滅の理由
土方巽:自閉と解放の間で揺れ動く身体。
・緊張と収縮。「私自身を捉えて、私自身のなかに閉じこもる世界、世界にみずからを開き、みずからも開く私」=リズム。あらゆる運動の共有
・不可識別者同一:実存と本質:人間と動物
・ベーコンとその時代。「感覚の水準」
・具象と抽象が同居しているときどのような影響が生じるか。
・平塗りの虚空における→:生成消滅の萌し
・水の勢い、砂の嵐による人物の消去。
5 要約的注釈
動物への生成はより深い「知覚不可能な生成へと向かう一段階」(p. 45)
・叫びの彼方の微笑(3,65)p. 45-
時代区分
1) 正確なFigureと鮮やかで硬質な単色の対立:構造からFigureへ。隔離
2) カーテンに蔽われた「絵画的」形態。Figureから構造へ。輪郭は洗面台、傘、鏡。Déformationの手法。収縮、膨張する身体。動物への生成。
輪郭は「人べらし役」。脱領土化(déterriorisation)」膜としての輪郭(p. 51)(81)
拡張と収縮の「リズム」=あらゆる運動の共存。
3) 平塗りの地、部分的な縞、ブラシ、ぼかし
4) 図像の消失「Figureは予言を実現して消失した」

2)補足
・「隔離」の手法から「カーテンの襞」の手法へ(16, 11)
宇宙的散逸。
閉じられているが限りがない
ぼかし、陰影の戯れ(絵画的malerisch)な処理(シルヴェスターによる第二期)


6 絵画と感覚
現象学的感覚論によるベーコン(アンリ・マルディネ)。ただしこの分析は7において不十分とされ、「器官なき身体」という概念が導入される。

「感覚を描くこと」「感覚を実現すること」(セザンヌ
「感覚とはひとつの<秩序>から別の<秩序>への、ある水準から別の水準への移行だ、とベーコンは言う。具象画も抽象画もひとつの水準にとどまってしまっている。

おのおのの感覚が、異なる水準、異なる秩序、いくつかの領域に位置する。「唯一の同じ感覚に属するもろもろの秩序が存在する。

感覚の諸水準とは何か
1) 具象ではない。「法王自身は何も見ることなく、不可視のものを前に叫ぶ」
暴力的な絵画ではなく、感覚の暴力=神経系統に対する直接の作用。感覚が通過するもろもろの水準、感覚が横断するもろもろの領域」
2) 愛情と憎悪、といった感情の両価性ではない。
3) 運動。キュビスム未来派デュシャンの<裸体>
→ ベーコンにとって運動よりも「感覚の可塑性」が重要。運動の彼方の不動性。その場での痙攣。身体に対する不可視の力=リズム。
諸感覚の根源的な統一性。
拡張と収縮=「私自身を捉えて私自身のなかに閉じこもる世界、世界にみずからを開き、みずからも開く私」(p. 63)。

「頭脳においては悲観的、神経においては楽天的」(ベーコン)

7 ヒステリー
現象学は「生きられた身体」しかみようとしない)(?)
・「リズムそれ自身がカオスのなかに、闇のなかに滑り込み、もろもろの水準の差異がたえず暴力的に攪乱されるようなところにしか見いだせない」(64)
・「器官なき身体」:
器官に対立しない(未規定な器官はある cf. p. 68)
有機体の組織化に対立
強度の内包的身体。
波動に貫かれ、この波動は身体のうちにその振幅の変化に従って、もろもろの水準や閾を刻み込む。

卵(らん)の比喩(65)非有機的な生。
強度的「現実」(⇔表象)

ヴォーリンガー(Wilhelm Worringer)『ゴシック美術形式論』(文春学術ライブラリー)
・北方のゴシック的線(図版参照)

波動が身体を貫通する。一定の水準で、一器官が、出会った力によって規定される。そして力そのものが変化するなら、別の水準にわれわれが移動するなら、この器官は変化するであろう。要するに器官なき身体は、器官の欠如によって規定されるのではなく、たんに未規定の器官の存在によって定義されるのでもなく、けっきょく、規定された諸器官の一時的かつ暫定的な現前によって定義されるだろう。これは絵の中に時間を導入する手段にもなる。(69)(cf. ベーコン図版63)
「絵画は目を有機体への帰属から解放し、固定され規定された器官という性格から解放する」(74)
7までの問題(例)
1) ドゥルーズ=ベーコンがFigureと呼ぶものはどのような特徴があるか
2) ベーコン的な絵画は、どのような絵画との緊張感で生まれてきたか。
3) ドゥルーズが「器官なき身体」と呼ぶものにはどのような特徴があるか。
4) 有機性、動物性、生命などの関係
5) 図像、背景(平塗り)、輪郭の関係
6) 絵画における運動と時間
7) 絵画における情動や痛みの表現
などなど