廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

メモ:芸術的価値の創設

前日の論文からのメモ
・マルローの個人主義全体主義の裏返しであることと、写真という「俯瞰」の技法が連動していること。写真に「技術的オペレーション」(シモンドン)を見ることができず、線遠近法の代替物としている観念論。
・「戦闘する有限性」として作動するものとしてのスタイルの「現れ」から出発すること。ドゥルーズのフィギュール(『感覚の論理学』)はカオスを前提としている。カオスと形態の対立を前提しない現れ
・現れはカオスと形態の間にあるのではなく、デフォルマシオンと形態化の絡み合いである。それが「メタモルフォーゼ」である
・形態のメタモルフォーゼは、画家の自己と自己の関係の変容である。空間的には自己の二重化であり、時間的には過去と未来の交差としての「生き生きとした現在」の厚みである。
・変容はつねに固定化をともなう。この固定化の運動に逆行して行為を起動させることこそが必要である
・この起動は、制度への抗いではなく、制度の潜在性の現働化であるが、それを目的とすることはできない
自己と自己の関係が制度への抗いであると考えるのではなく、自己と自己との「制度化」的な関係こそが主題化されるべきである。
・だがこの目的の不在において、斜行的でジグザグな運動によって、制度の新たな次元が開ける。それが事後的に「価値」と呼ばれる。制度化とは目的なき価値の創設を含む運動である