廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学演習II:「語る言葉と語られた言葉」

メルロ=ポンティの言語論

・『知覚の現象学』(1945)の「表現としての身体と言語」の章。身体表現の創造性と言語の創造性を並行したものとしてとらえる(「語る言語(parole parlante)」と「語られた言語」(parole parlée)の区別。「セザンヌの疑い」にも、「初めの言語」の例があることに注意。

・『意識と言語の獲得——ソルボンヌ講義』(1949-1952)心理学、言語学との関係。

・『世界の散文』(1950年代。未完のまま、「間接的言語と沈黙の声」という論文にする。『シーニュ 1』所収)。ソシュール構造主義を取り入れる。差異としての意味。言語体系の重みをどう考えるか。言語体系の重みを担いつつ、側面的に意味を創設する働きを模索。「間接的言語」。


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問い:
・一方で私たちは言語体系がすでに制度化された世界に投げ込まれる。そんななかで、たんなる既成の意味の交換ではないような、言葉を発することができるか。そのときその「言語」と「意味」はどのような関係にあるのだろうか。
→ 「言語が自立したシステムをなしていること」、それでも「新たなことが語られる」ことはどう両立するのだろうか。メルロ=ポンティは「無からの創造」を否定していることに注意。

・「記号と意味の結びつき」と「間接的言語」(初めての言葉、「それまで語られなかった何か」を語る言葉、「他者に何かを伝え、何らかの意味を真に共有するような言葉」)
→ 「斜めの意味」とはどのようなものか?「側面的な引き込みによるコミュニケーションがある」(『制度化講義』未訳)

・言語における受動性と能動性の絡み合い
・そのうえで身体表現と言語表現のあいだの区別を考え直す。