廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

メルロ=ポンティ「表現と幼児のデッサン」第2回

メルロ=ポンティ「表現と幼児のデッサン」第2回

参考文献:鬼丸吉弘『児童画のロゴスーー身体性と視覚』(剄草書房)、1981。体芸図書館蔵
1)表出期
・身体性を主とするが、それだけではない。しるしをつけること、表出行為そのものに関心。
→ 円形の発見 → 「なにかをつかんだ感覚」「手で捉えたもんおの感触」「存在するものの最初の表現」
・直線の発見:方向性の意識。
○表出行為のプロセスにおいて、無ではなく何ものかが「ある」という経験に出会うこと。「偶然性、運命、自由」

○構成期
頭足人間:中身のびっしり詰まった、生きた実態なのだ、それは触れることができる、つかむことができる、呼べば応えることができる、生命をもった具体的存在として実感されている。
・観面混合
○再現期
「子どもは見るものを描かず、知るものを描く」テーゼの誤り。Cf. アルンハイム。見ることそのものに含まれた構造化の働きに注目。
・段階の意味
・直観像
・透視画法
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○では児童画をどのように「積極的達成」として語るべきか???
p. 198, 5行目以降、とりわけ、p. 198終わりから3行目「目標は。。」以下を熟読のこと。

キーワード:
・われわれと世界との関係(198, l. 6)
・クロード・ロランの光
・偶然性、運命、自由
・感情をふるわせる対象や光景
接触の痕跡
・「証言」と情報
・デッサンを「迎え入れる」
・決定的言葉(199, l. 3「決意の言葉」は誤訳)
・「有限性のしるし」
時間性
「現在はまだ過去にふれ、過去を手中に保持し、過去と奇妙なぐあいに強調している。」(p. 199, 後ろから3行目)

まとめ
児童心理学は、児童の絵によって子どもの発達過程をみきわめようとする。しかしメルロ=ポンティは、児童画から出発して、私たちの世界との関係を問い直し、さらに、それを新たに取り上げ直す現代絵画の試みを見きわめようとしていると言えよう。
他の参考文献:
クレー『造形思考』ちくま学芸文庫
前田富士男『パウル・クレーーー造型の宇宙』