パレルゴンメモ:2
・境界的な存在の語り方。境界を固定するのでもなく、境界をなくすのでもない「脱構築」の方法。→ 外からの枠組が、内部の欠如と連動する。内的境界と外的境界が逆転する。
・一般に、理論的な言説が、それ自体で自律したシステムを画定することができないこと。すべてを統御することはできず、非決定な部分がつねに含まれている。内側から「外部」へと開けてしまう。「枠」はこれを補強・隠蔽するようにみえて、非決定な部分を「内部の欠如」として露呈してしまう。
・デリダの「誇張的方法」cf.「コギトと狂気の歴史」(『エクリチュールと差異』所収)。デカルトの「悪霊の仮説」。デカルト的「方法」を逸脱する。
デリダの別のテクストとの関係(翻訳が相対的によいもの、とっつきやすいもの)
直接関係するテクスト
・「復元」(『絵画における真理(下)』所収:ゴッホの靴の絵画。ハイデガー:農婦の靴、大地の主題。シャピロ(美術史家):この靴はゴッホのアイデンティティを示すもの。デリダ:そもそも靴は「誰か」「何か」に帰属すべきか、という問題を提起。「亡霊」として現れる靴。
・「フロイトとエクリチュールの舞台」(『エクリチュールと差異』所収)。フロイトの記憶論。パレルゴン的な内部と外部の境界を「記憶」の痕跡の場としてとらえる。マジックメモの痕跡。「生は死で(ある)」「生は差延(差異=遅延. différance)である」
一次過程=無意識的過程。快楽原則。生命的
二次過程:前意識的・意識的過程。意識的な記憶。死の欲動(有限性)と関係。
→ 一次過程と二次過程のあいだの、痕跡的な記憶は、生と死の対立に属さない。
・『歓待について』
境界的な存在に到来するものとしての「移民」「難民」という他者に対する「絶対的歓待」と「条件付き歓待」のからみ合い。
ソフォクレス『コロノスのオイディプス王』という「異邦者=違法者(anomos)」。アンティゴネーに、自分の死に場所を教えずに消える。娘のアンティゴネーは喪をとりおこなうこともできない。テセウスには「誰にも言ってはならない」という条件で死に場所を訓える。「秘密」による束縛。異邦者の「亡霊」が内部のものを秘密によって束縛する。
- faire le deuil : 喪をとりおこなう。faire son deuil de .. ・・をあきらめる
faire son deuil de son deuil : 喪をあきらめる。喪の喪に服す。
哲学プロパーのテクスト
・『暴力と形而上学』(レヴィナス論)『エクリチュールと差異』所収。原暴力。
・『声と現象』(フッサール論)。ちくま学芸文庫。デリダがはじめてデリダになった本。
政治的テクスト
・『法の力』決断は非決定性の試練をたえしのぶ。あたかもそれが他者からの決定であるかのように決断する。「決断の瞬間は狂気である」(キルケゴール)(『死を与える』ちくま学芸文庫)
・「時間を与える」『他者の言語』法政大学出版局所収。「贈与としての贈与は、現前しない、贈与として認知されない、与えられた瞬間に忘れられる。こうした贈与は、「交換」の円環を断ち切る」
対談など
『言葉にのって』ちくま学芸文庫、中期以降の自著解説。、こちらのほうが対談らしい。