廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学研究VI ヘテロトピア

フーコー権力論のポイント(『性の歴史I 知への意志』
1)「抑圧の仮説」の批判。権力とは、禁止などの否定的なものによる人間本性の疎外ではない。肯定的に何かを「生産」するものである。たとえば性について、さまざまな言説をうながすのが権力である。医学的な言葉によって語らせること(少年の性、倒錯を病とすること、ヒステリー)
2)権力は何でないか。否定的ではない、法を課すものではない、タブーではない、検閲ではない、国家のように単一なものではない。たとえば「家族」という「装置」は、抑圧の場ではなく、むしろ国家と個人を媒介して、ネットワークを作り出す。
3)権力とは何か
・「無数の点を出発点として、不均質で可動的なゲーム」
・ 知識や経済に外から働くのではなく、「内在的」
・ 権力は下から来る
・ 目標はあるが、主体はない。
・ 権力のあるところに抵抗がある。抵抗はむしろ権力の「手がかり」。逆転可能でないような権力関係はない。
以上を受けて「他の場所」を読む。
権力の諸関係は、いったいどのような空間を組織しているのか。そしてその「裏側」として「ヘテロトピア」はどのような空間を創出するものなのか。

1 中世的空間から現代の空間へ
1) 一九世紀の歴史哲学(進化論、諸言語の系譜など)「さまざまな地点を結び付け、さまざまな縺れを交錯させる」
2) 空間概念の歴史:中世的コスモス(月下界と天上界)、ガリレオ(無限に開かれた宇宙:現代(用地、敷地、・・スペース)。隣接関係。
3) 情報のストック、人口学的「統治」(生の権力)
2 現代の空間の特性
1) 現代においても非神聖化されていない空間はあるか。私的空間/公的空間、家族と社会、文化と実益、余暇と勤務
2) 不均質性。滞在地、街路、鉄道、カフェ、映画館、ビーチ
3) フーコーの関心。p. 280. l. 5の引用。ユートピアヘテロトピア
3 ヘテロトピアの定義
1) p. 180-181.
2) 鏡の比喩。
4 ヘテロトポロジー
1) 危機のヘテロトピアと逸脱のヘテロトピア(p. 282)
2) 墓地の例 :死の個人化と墓地の市民化(pp. 182-183)。病としての死。
3) 劇場、映画館、庭園。
4) ヘテロクロニー。博物館と図書館(時間の堆積)、ヴァカンス村。
5) 開放と閉鎖。
6) 現実と幻想の混在。植民地。船。
テクストから問いを発すること。
1) 現代社会において、どのように「ヘテロトピア」を活用することができるのか。
2) 現代社会において「ヘテロトピア」はどのように変質しているか。
3) 現代社会において、新たなヘテロトポロジーを書き直してみること。