廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学研究V:幻影肢1

幻影肢(p. 145まで)
・生理学的説明:大脳に至る神経の経路上で、ある刺激が、別の刺激にとってかわる。→ 麻酔でもなくならないし、切断手術がなくても現れる。情動にも依存。
心理的説明(疾病失認)。欠損を拒否している。記憶、意志、思い込み。
→ しかし他方では、幻影肢は感受的伝導路を切断すれば消える。

→ 折衷説?代償行為?
メルロ=ポンティの立場。両者の「出会い」の場面(第三者的視点と一人称的視点の出会い)を模索。「世界へ向かう行為の流れ」「行動的環境への志向的活動」
→ メルロ=ポンティは「一人称主義」ではないことに注意!

問い
・「現在と不在とのあいだに中間者を認めない客観的世界の諸カテゴリーから」外にでること(p. 145)
「切断手術を受けた人が自分の脚を感じるその仕方は、あたかも私が目の前にいない友の存在を生き生きと感ずることができる仕方に似ている(146)」
「生活の地平に保持」(p. 147, l. 2)

「欠損の拒否とは、一つの世界へのわれわれの内属の裏面でしかない」(p. 147)
→ ここで「身体」が世界へ向かう「開かれ」の担い手となる。

「病人は自分の損傷を否認するまさにそのかぎりで、その損傷を知っている」(世界内存在の逆説)(p. 148)

「習慣的身体」(le corps habituel)と「現勢的身体」(le corps actuel)
→「非人称的身体」