廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

『法の力』まとめだけ(改訂版)およびレポート

3つのアポリアの直中における「決断」
(絶対的)正義(計算不可能なもの)と法(掟)(計算可能なもの)との絡み合い。(絶対的歓待と条件付き歓待、「交換なき贈与」と「交換の円環」の関係に対応。
レヴィナス「他なる人との関係──すなわち正義」(『全体性と無限』)=「まっすぐに顔を迎え入れること」。契約以前の他者との関係。
1)レヴィナス的正義:無限、計算不可能、規則に抗する、対称的でない、不均質
2)法、正統性、合法性:安定的、規約的、計算可能、指示の大系、反復可能性(57)
2)はつねに1)を蝕んでいる。

三つのアポリア
1) ある決断が正義にかなうものであるためには、「法」によって規制されながらも同時に規則なしにあるのでなければならない。法を維持しながら、同時にそれを破壊したり宙吊りにしたりする。法の再発明。(56)
2) たんなる「揺れ動き」ではない→ 決定=決断不可能なものに取り憑かれること。決断不可能なものの試練を経ることのない決断は自由な決断ではない。主体は決断できない。(60)
「決断不可能であることの記憶のなかに、ある生き生きとした痕跡が保持されていて、決断に決断としての特徴を与える」(60) 決断不可能なものを幽霊(ファントム)として受け入れる(61)。正義の理念は円環なき贈与である(63)
3) 決断の瞬間=正義の瞬間は、切迫されせき立てられる有限な瞬間。「決断の瞬間はある種の狂気である」(キルケゴールアブラハムのイサク奉献)。「まるで自分自身の決断が、他者から自分のもとにやってくるかのように」(68-69)
暴力を孕んだ行為遂行(performative)
待つことと同時にただちに決断する。「メシア主義なきメシア性」。

補足:
・ 「配分的正義」(58)アリストテレス
・ 決断不可能なもの(規則的でないもの)=亡霊を歓待すること。
・ 「正義の理念は無限」「決断は有限」(67):両者は異質なまま絡み合う
・ メシア主義なきメシア性。(64-65)
・ 地平の概念(66)
・ せき立てられて、無知と無規則という闇の中で、規則を再創出すること。
・ 事実確認的│行為遂行的
・ たぶん(peut-être)未来に開けている。。。
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・ レポート課題。
授業を受けて、デリダの考えの中で、自分なりに受け止められたことから出発し、それをまとめたうえで、さらなるコメントをすること。なるべく配布プリント(レジュメではなく)などの引用を心がけること。
締切:期限:8月6日(水)17時
場所:2C4階学務前レポートボックス
加点ポイント:
デリダのポイントを正確にとらえたうえで、自分なりの問題(卒論関係で読んだものでもよい)と関係付ける。引用を明確にすること(名前や書名だけではなく)
デリダ自身のテクストを自分で読み、それを要約。できたら授業と関係付ける。