廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

オートポイエーシスとダンス

オートポイエーシス autopoiesis(河本英夫『岩波 哲学・思想事典』)

・神経生理学者マトゥラーナ、ヴァレラにより着想。社会学ルーマンが一般システム論に活用
1) システム理論:要素の集合を決定、それらの関係をマクロに記述
2) 自己組織システム:集合の「境界」の変動を記述
3) オートポイエーシス理論。そもそも「集合」そのものがどのように設定されたかを問題にする。システムが要素を作る⇔要素間の関係がシステムを作る。この循環関係が集合を設定。
・このようにシステムが作動を「継続」することによって、境界が定められていく。
・システムを継続させるための要素はどのようなものでもよく、それがシステムの本性(個性)を形づくる。
・問われているもの:行為とシステムの関係。動き続けるものと構造との関係。
「ダンス──世界と相即する身体運動のシステム」(河本英夫『システムの思想──オートポイエーシス・プラス』(東京書籍)
1) 局所:からだの「窪み」から広がっていく感覚と動き
2) 空気:空気の流動性やまばらさ、反発、よどみの知覚。境界の切り直し。運動と認知の二重作動
3) 直観。叙情なき直観が運動に直結(254)

・「窪み」はアンテナ、「記憶」の場
・直観:身体が知覚しているものから離れようとする「距離感」。「遠い」感覚が身体のアンテナで知覚される。
・「強度」:回転しながらなにかが加速していく。
・「型」を距離感として利用。距離感のうつりかわりが「強度」として感じられる。(-255)

・「関節」の中に会話や議論がある(256)。

・「局面」としての重力。静止したいときは浮かんでしまう。
・「重力」に相即している(258)。相即を断ち切り、重力との距離感をなくすことが「相即」の表現となる(258)。重力より早く落ちる。そこで生まれる「遊び」。

・「音と声」。音を振動として感受(260)。自分があろうとする感覚と、自分がある感覚との「ずれ」。
・空気の振動である音を感じ取って、身体を動かすときに、喉の震え=叫びの表現が生まれる(260)声による余韻(こだま)(263)
・コメディとユーモア。
集中度の上がっている動きの中で、スッと力を抜いた「ピーク」が、動きの「窪み」となり、それがコメディとなる。

・認識では間に合わない(266)。
・<光>の裏側(266)。
・動きを継続しているだけなのに、それが作品になってしまう。踊りを続けながら、自分の動きを新しく作り出して、そこから動きの回路を作り出していく(267)。
・「距離化」距離と感じるものを此方側に引き寄せる力、そのとき速度が速まっていく(268)