コメント
・現代絵画は画家の自問自答?→ 世界が世界自体に問いをなげかける(『見えるものと見えないもの』)
・フェルメール<真珠の首飾りの少女>。絵にふさわしくない椅子を移動
・デカルト:空間の理念化。メルロ=ポンティ:空間を実験場とする。観察主体が動くと観察対象が変質する。
・認識は容易に機能主義へ陥る。誰にとっての機能か?住みにくい部屋。
・デカルト『方法序説』
IV. 現代絵画の新たな存在論
・作品の意味の多様性について。作品の多様な意味=作品自身が変身したもの。
フランス革命の例。偶然の出来事が、後に別の意味へと結晶化していく。はっきりとした意味ではない「意味の剰余」が、奥深い歴史の織地と関係している。
おなじように、芸術作品も、たえず「自分自身になる」という運動を続けている(145)作品に「ふれてみる」しかない。(147)
[34] 奥行
「物がたがいを掩蔽し合うというまさにその理由によって、私はそれらの物を各々の場所にあるがままに見る」(149)
「各々の物がその場所にあるというまさにその理由によって、物同士が私の眼差しの前で競い合う」
オーヴァーラップによる外在性、自立における依存。
このような奥行は第一の次元。「全体的な場所性の経験」「物がそこにあるというヴォリューム感(量感性)」「存在の爆燃」(151)セザンヌ「色と色がぶつかりあって物たちが揺れ動きはじめ、不安定性の中で転調し始める」(152-153)
・空間とその内容物を分けることはできない。
[35]
色彩:我々の頭脳と宇宙が合流する場(セザンヌbyクレー)
「色だけでさまざまな同一性、さまざまな差異、一つの織地、一つの物質性、一つの何かある物を創造する」
セザンヌ<ヴァリエの肖像>(155-6)
色は、黄色であること、緑であること、青であること、一般的な「ある」を浮かび上がらせる。「蔽い合い、前進し、退却する色の諸平面の浮遊運動」(157)
[36]
「奥行はどこからともなく支持体のうえにやってきて、そこで芽吹く」(157)
「画家こそが、見えるものの凝縮と見えるもののそれ自身への到来によって、物たちのなかで生まれてくる」(158)「世界がいかにして世界となるかを示す」
「光の声」(ヘルメス・トリスメギストス)「光がそのまったき表情を具現するばあい、万物に色彩と形態が生まれる」(アポリネール『動物詩集』)
「水の厚みを通してプールの底のタイル床を見る」(159)「水や反射を通して、水や反射によって見る」。そのとき「タイル床」は<どこ>にあるのか。水はどこにあるのか。プール以外の場所にあるのではないが、プールの中にあるのでもない。プールに住み込み、そこで物質化する。水の「生き生きとした本質」(161)