2016-09-13 風景の痛さ 奥行きは身体を包み込む、もっと遠くへ、と身体を誘い込む深淵である。過去の強い情動を取り上げ直し、さらに前に進めと命じる風景である。そんな残酷なものがあろうか。サルトルの、ペシミズムを装ったオプティミズム。メルロ=ポンティの、生命の豊饒さとオプティミズムを装った、闇の風景。風景は突き刺さないが、全身を深淵へと落とそうとする。だが落としてはくれないのだ。