河本英夫「障害の傍らを通り過ぎる」、『現代思想』(青土社)、vol. 38-12, 2010年10月号。
・「障害を生きることの底なしの深さ」(174)。
距離のなさ(自己触発)(cf. 時間意識)。
距離のなさにおける気づき(awareness)。行為のさなかでみずからに出現する経験の変化の感じ取り。=選択肢を開くこと。Ex. 手足の感覚を取り戻すという「創発」。
「目覚め」としての意識。意識の行為。⇔「知る」こと「認知すること」とは異なった意識のありかた
1. 半側空間無視
「左側の無視は、欠損ではなく、脳損傷状態で意識の最善の自己表現」(176)
意識自身では感じ取れない意識の変容=現れの変容。
意識そのものを維持するための活動
・ビンスワンガーの「現存在分析」:患者は実存的に固有世界を生きる。
・「病理の自覚」
⇔ 多田富雄の「巨人」:意識や意志の働きから切断されたまま、なおそれじたいで自己形成しようとしている「自己」(179)。健常は巨人の忘却。
・実践的調整能力としての意識
2 認知行為
・認知と運動の絡み合い。
・触覚性感覚
・カルロ・ペルフェッティの「認知運動療法」
肩にスポンジをあてて、その堅さを感じる。(181)
腕を持ち上げながらどの高さまで上がっているかを認定(183)
身体の内感の形成。「身体は、それ自体の運動をつうじて、身体とも身体運動とも異なる指標や物差しを形成する」(183)
意識はそれじたい注意の場所を開く。
3 選択
心の働きに隙間を開き、選択を可能にする遅延行為。
いわゆる「自己認識」はむしろ自己誤解(自己を狭める)(185)
「行為的選択」おのずと出現する別様さ(186)注意の分散的活用
イメージの活用。「遂行的イメージ」(187)
まとめ