オートポイエーシス
・「自己制作」ポイエーシス⇔テオリア(精密科学知。「観察者」の視点)。認識と制作行為、認知と行為との区別を問題視。Cf. フランシスコ・ヴァレラ『オートポイエーシス』フランシスコ・ヴァレラ、エレノア・ロッシュ『身体化された心』(工作舎)
『損傷したシステムはいかに創発・再生するか: オートポイエーシスの第五領域』(新曜社)
基本イメージ:(プリント「システム」)
・生成や動きを考慮したシステム論。
・みずからの行為をつうじて意図せず制作される自己
・それ自体で作動を継続するメカニズムを持っている。
・そうした生じた産物も取り込んでいく。
・こうしてシステムは、動きの継続を通じて、境界を作り出して、閉じ続けることで「自己」を制作する。
例)職人がじぶんの行為の継続の仕方だけ決めて、設計図も見取図もなしに、家を作る(「意図」や「目的」という概念の放棄)。蜜蜂や蟻の巣。
例から考えてみること(「動作システム」プリントより)
1 舞踏の身体動作と言語(290-296)
・土方巽の「模倣できない動作」:身体動作の詩人
・土方巽「犬の静脈に嫉妬することから」「病める舞姫」の文章をどう読むか
・歩行という動作の記述(289)
・「可能なかぎり削ぎ落とされた過剰」(295)
2. 身体動作とイメージ
・スキーの例。「身体の内感的な感じ取り」が「調整機能」を与える。
・発達障害児の例と認知運動療法。「言語的規則は、諸感覚の働き、とりわけ内感領域の分節に共作動している」297
・「踵と床のあいだに青空を感じる」「胚柱の歩行」「頭上の水盤」「蜘蛛の巣の観察」どこかへ行くのではない歩行そのもの。「行為誘導イメージ」
課題:
1) 行為がいわばパターン化してしまったときに、どのように「内感領域の分節」を活性化させるか。
2) そのためにどのような「行為誘導イメージ」を作り出せばよいのだろうか。
「序章」より
・触覚性感覚(ものの手触り、気配や感触)により行為能力そのものを再組織化する。
・「経験の可動域」を拡げること(12)
・「行為的選択」「遂行的イメージ」=動作の感触(13)
・「立ち上がるという動作」の感触(内感)=動作への気づき、動作の調整。ゾンビ状態(15)。土方「自分の中で死んだ身振りをさらに死なせる」
・狭い隙間を通り抜けること。
・感触(動作への内感)「気づき」「踏みだし」といった用語に注目。認知、意図、決断という回路ではない新しい回路をつくりだしてみよう。
・踏みだし:投手の一球ごとの踏みだし(15)、土方の「一以前の動作」
「無視」と「注意」
・重力感覚(歩行では無視され、エレベータその他では注意される)
・半側空間無視。
・足の裏の触覚性感覚で考える(20)
・物に触る訓練によるリハビリテーション(22)たんなる皮膚感覚ではなく、物を触るという行為のなかで、圧や速度を調節すること。
発達について(25)
・発達と障害、という思考を乗り越えるために!25-28
「視点の移動を組み込んだ行為の形成」27
能力そのものの形成27-
学習のパラドックス(能力とエクササイズの循環):「学習とは能力の形成である」(30)
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参考(プリントなし)
・「ゆうがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事において文句はないのだ」(中原中也)と離人症(41)
・「身体が重い」とはどういうことか。首が据わらない発達障害児:頭の重さを感じられない。片麻痺患者。一歩踏み出すさいの重心移動が内感できない。60
・注意と運動能力(70-71)注意の広さの獲得のためのエクササイズの必要性。
・走り高跳びの選手のイメージトレーニングは何をイメージしているのか⇔「踏み切るさいの動作の感触」167