廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学研究6:小レポートに向けて

来週の小レポートについて
目的:期末レポートの課題となるような問いを立て、それに答えるための材料集め、分析結果の見通しを立てる。土方、オートポイエーシス論、人見眞里の発達論などをひろく論じることが望ましい。

評価点:
・講義の内容に即した課題や問いが設定されているか。
・レジュメのまとめではなく、そこで挙げられた例や方法に密着した記述がなされているか。
・講義の理解度、その自分なりの発展、さしあたっての結論などができているか。
・論述の形式はレポートに準じること。すなわち
ー題名(必須)
―序:自分なりの問い
―本文(いくつかの段落に分ける)
―結論(さしあたっての見通しでよい)
・文章力
・注意点。理解できなかった点ではなく、自分なりに理解できたことを書くこと。そのうえで自分が探究すべき材料(実際のパフォーマンスやビデオ)や課題は提起するのはよい。ただし他の授業で扱っているものは使用不可。
・他の文献を使ってもよいが、出典を明記できるようにしておくこと。土方の言葉はプリント、レジュメに基づいてよい。
・資料はすべて持ち込み可。
ちょっと復習:
1) 土方について項目(10.16レジュメに土方の言葉あり)
(一)正確に経験の裂目をみきわめること
(二) 「自分の肉体の中の井戸の水を一度飲んでみたらどうだろうか、自分のからだにはしご段をかけておりていってみたらどうだろうか。自分のからだに闇をむしって食ってみると思うのです」(H II, 11)
(三)はぐれている自己の身体を熟視すること
(四)器としての身体
(五)オブジェの採集
(六)死んだ姉のイマーゴ
問い:土方の言説は一見して自己の身体とのナルシス的関係の強化である。そこに「観客」はどうかかわるのか。土方が「スペクタクル」や「参加型アート」を拒否したことは、観客の拒否なのか。
オートポイエーシス
課題の抜き出し(レジュメより)
1) 行為がいわばパターン化してしまったときに、どのように「内感領域の分節」を活性化させるか。
2) そのためにどのような「行為誘導イメージ」を作り出せばよいのだろうか。
3) 触覚性感覚は、「認知」や「注意」の手前で、調整機能や気づきや行為的選択を可能にしている。このような次元を「前景化」するにはどうするか。
4) 発達、能力、学習、身体内感と言語の差異など
人見眞里「ゼロのキネステーゼ」までに
・身体の重さが「ゼロにセットされている」こと。その内感のたえまない更新可能性による安定。
・外界の差異の予期と感じ取り
・下向きの垂直性と上向きの垂直性:行為における自分の身体の支持、指定のための潜在的重力

脳の損傷による機能解離や「障害」
・意図と解離した動き(のなさ)
p. 202以下のSくんとYちゃんとWくんの例
・「つながろうとして断ち切られ、到達しようとしてはそこが立ち消えるような経験の蓄積」(p. 203)
・「彼の身体のゼロポイントは、感じ取られてしまう様々なベクトルの中で、あるいは感じ取れない下肢のぶんを勘定にいれない形で、自身の身体のサイズよりさらに小さく組み替えられて、最小限に更新され続けている」(p. 205上)
更新のモードが活性化されない。

セラピストは何をすればよいのか、何をしたらいけないのか(p. 205-6)
・視覚と接触と動きを主要なテーマ(Sくん):世界が動く、あるいは自分自身がそこへ向かうということがどういうことなのか了解できた
・世界に向かう手がかりを得ること、自分の身体について感じ取りながら持続的に注意を積み重ねること(Yちゃん)
背信のモードを身のうちに抱えながらも、すこしずつ世界への信頼を得ようとしている

これらは「身体全体が実際の動きに向けて準備を整えた状態、すなわち「ゼロのキネステーゼ」である。p. 208

より詳細には「脳性麻痺リハビリテーション
https://www.toyo.ac.jp/uploaded/attachment/4572.pdf
参照(写真などもあり)。