廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

先端文化学研究 1月20日 ストア派、パレーシア、ディオゲネス

ストア派の生(セネカマルクス・アウレリウスエピクテートス)(『主体の解釈学』)
・アスケーシスが禁欲ではなく、ポジティヴな訓練であったこと。
・思考=行動がひとつのもの
・ それにより、主体はみずからを「ロゴスの主体」に変容させ、不意の出来事に備えることができる。自己を気づかうことは、そのように「ロゴスを身体化する」「ロゴスとなること」ようにしていつも使えるようにすること。プラトン=自己の内なる真理を想起。ストア派=外部の真理を自分のものにする実践的なもの。
・ とりわけエピクテートス(『人生談義』では、「生全体」がこのような「試練」となる。
・ 「聴くこと」「書くこと」「自分という書物を読み返すこと」
・ 「災悪の予期」という訓練。

最後の主題「パレーシアと真理の勇気」(『自己と他者の統治』『真理の勇気』)
・ パレーシアとは、すべてを自由に率直に語ること、を意味する。
・ その特徴
1) パレーシアとは、危険を冒して発言すること、コンテクスト(文脈)を書き換えてしまうような発言
2) ひとは「自分がまさにこの真理を語っている」と語り、このリスクを引き受ける
3) このリスクに主体の「自由」と「勇気」がある。こうして社会的・制度的な地位とはかかわりない自己のあり方(エートス)を確立できる。
◎民主制との関係
キュニコス派犬儒派)(シニック、シニカル、シニシズム)(cf. 『真理の勇気』)紀元前四世紀頃。
・ このようなパレーシアを「生」そのものとして実践してしまう限界的な例
・ 真理のスキャンダル
プラトニズムの転倒」プラトン「真の生」を「もうひとつの生」へ転換
1) 他者の目の前で飲み食いする。=真理のスキャンダルを実践
2) 衣食住を最低限にする=ポジティヴな貧しさ
3) 動物的な生(ネズミのように生きる)、戦闘的な生。
まとめ:プラトンが「真の生」をめざしたのに対し、それを極端に人前で実践し、「別の生」を戦闘的に生み出していく。自己の生を作品化した極端な例。

レポート課題
1) これまで渡したプリントをすべて振り返り、あらためて発見したこと、フーコー思想を貫く共通の態度に注目し、それを引用しながら、フーコー思想の現代的意義についてまとめる。
2) 『フーコー・コレクション』『フーコー思想集成』『フーコーコレージュ・ド・フランス講義(一部でもよい)を探索し、授業の主旨と重なる論文などをひとつ選び、要約、コメントする。一部のみ配布したプリントの全体を読むのでもよい。

枚数:2500字以上。引用を多くしてほしい。他の参考文献を読んだときにはそれを明示。
締切:2月10日(火)17時