廣瀬浩司:授業資料格納所

授業用レジュメの残り物

『眼と精神』まとめ

モーリス・メルロ=ポンティ『眼と精神』(1961)(5)
1) まとめに向けて
・ 『眼と精神』の配った部分を通読し、心に残った表現、さらに深く考えてみたい問題などを見つけてくれるのが一番の願いです。とくに「見る」とはどういうことなのか、見ることを学び直すこととはどういうことなのか、そこで身体はどう働いているのか、そこから絵画や芸術作品は何を実現するのか、自由に感性をとぎすましてかんがえてみてください。
・ 三 
・ [身体論について]。視覚と運動のからみ合いから、どのように絵が生成してくるのか。
・ 身体が見るものと同時に見えるものである、という一見当たり前な指摘はどのような意味を持っているのか。
・ 「私の身体は世界の織目のなかに取り込まれている」「世界は、身体という生地で仕立てられている」「視覚がものの中から取り出される」(OE, 259)とはどういうことか。
・ 能動と受動の交差点における火花(260)

・ こうしたことと絵画との関係。セザンヌの「モチーフ」との関係(OE, 260)
・ 「イメージ」とはなにか(261)現実的なものの想像的(イメージ的)テクスチャー(262)
・ 「絵画は、<可視性(visibilité/visibility)>の謎を称える(263)とは?
・ 狂気と「離れて持つ」こと(263)
・ 山が山となるための手段を発見すること(264)
・ 『夜警』の分析から、「奥行き=深さ」の概念へ。
・ 「画家の視覚はたえざる誕生なのだ」(266)
・ 鏡の意味(266)


・ 作品そのものがおのれを変貌させてその続編に成る(284-285)(『セザンヌの懐疑』の生と作品の関係に似ている
・ 触覚的歴史学(285)
ジャコメッティ、ドゥローネ、クレー、マティス、ヘンリー・ムーア、ロダン
・ 「奥行き」について。隠し合うから、かけがえのないその場所にあること、包みあうからこそ相互に外在的であること。(286)
・ 色彩の分析。
・ 「奥行きはキャンバスの上で芽生える」(288)
・ 画家のほうが物のあいだから生まれてくる(288)
・ 「私がプールの底のタイルを見る場合、水や反射光にかかわらず、ではなく、まさにそれらを通して、それらによって見る」(289)
・ 線について。「目に見える線それ自体というものはない」(290)「夢見る線」
・ 「林檎は空間に先立つ背後世界から来でもするように、見えるもののうちに降臨する」(291)
・ 「位置の移動なき運動」。「空間をまたぎ越す」「持続をまたぎ越す」。ロダンジェリコ

まとめ
・ 存在の裂開に内側から立ち会う(295)
・ <見えるもの>の特性は、<見えない裏面>、つまりそれがある種の不在として現前させる裏面を持っている。(297)
・ 無言の存在そのものが、自分で己自身の意味を表明する(298)